宮沢賢治はいいぞ

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1896年の8月27日、宮沢賢治が誕生しました。今年で生誕129週年。そして9月21日は命日です。実は全集を読破するぐらい大の宮沢賢治ファンです。全部覚えてるわけじゃないけど。

宮沢賢治作品が好きな理由は・・・

  1. 美しく悲しい話が多い
  2. なんか不気味
  3. 死のにおいが漂っている
  4. 宗教チック

4.の宗教色が濃いことに関しては好みが分かれるだろうけど、個人的には宗教的な思想のある物の方が深みが出ると思っているので好きです。読んでそこで終わりではなく、人生の後々までずっと残る気がする。

この宗教的な雰囲気が2,3の不気味さ、死のにおいにも繋がっているのかもしれない。

前置きが長くなりましたが今日は賢治作品からそこまで有名ではないけれどすごく好きな作品をご紹介します!

※ネタばれあり※

若い木霊

個人的に春に読みたくなる話ブッチギリ1位。

あらすじは雑に紹介すると木霊(こだま)が春の訪れを喜んで野原をうろついてる最中に妖しげな現象に出くわすお話。

とても短く、5~10分以内に読めます。短いけれど好きなフレーズが沢山。

「鴇(とき)の火だ。鴇の火だ。もう空だって碧くはないんだ。桃色のペラペラの寒天でできているんだ。いい天気だ。ぽかぽかするなぁ。」

「そらでも、つちでも、くさのうえでもいちめんいちめん、ももいろの火がもえている。」

春の喜びに満ちている言葉ですね~!早春の時期にマネして「トキノヒダ!トキノヒダ!」とか叫びながら野原を駆け巡りたくなる不審者です。実行はしてませんが笑

それにしても「桃色のペラペラの寒天」ってすごく美味しそうじゃないですか?宮沢賢治の作品って風景の描写をしているのにやたら美味しそうに感じることがよくあるんですが、私だけでしょうか。

ポラーノの広場に収録されてます。

めくらぶどうと虹

初めからおしまいまでこんなきれいな言葉を紡ぎだせるなんて、賢治はやっぱりスゲー!となったお話。これも10分以内で読める。

さて、かすかなかすかな日照り雨が降りましたので、草はきらきら光り、向こうの山は暗くなりました。そのかすかなかすかな日照り雨が晴れましたので、草はきらきら光り、向こうの山は明るくなって、たいへんまぶしそうに笑っています。

宮沢賢治のお話はどれも文章を読むだけで鮮烈なイメージが湧き上がり、うっとりしちゃう。絵になる文章。実際大昔に若い木霊、やまなし、風の又三郎の絵を趣味で描いたことがある。もう捨てちゃったけど。

今日こそただの一言でも、虹とことばをかわしたい、丘の上の小さなめくらぶどうの木が、よるのそらに燃える青いほのおよりも、もっと強い、もっとかなしいおもいを、はるかの美しい虹にささげると、ただこれだけを伝えたい、ああ、それからならば、それからならば、実や葉が風にちぎられて、あの明るいつめたいまっ白の冬の眠りにはいっても、あるいはそのまま枯れてしまってもいいのでした。

虹に強い憧れを抱き、崇拝しているめくらぶどう。そんなめくらぶどうに虹が諭すように語るのだけど、宗教的・哲学的な言葉が印象に残ります。

めくらぶどうと虹の改作が「マリヴロンと少女」。でもめくらぶどうと虹の方が好きだな。

土神ときつね

土神ときつねがヒロインの樺の木をめぐって三角関係になるお話。文庫本で18ページほど。悲劇で、後味悪いんだけど大好きなお話。嫉妬の感情がめちゃくちゃリアル。

樺の木は野蛮な雰囲気の土神よりも、紳士的で物知りなきつねの方に好意を寄せている。

このきつね、やる事がいちいち小洒落ている。樺の木にハイネの詩集を貸してあげたり、「望遠鏡を注文したから届いたら見せてあげる」と言ったりやたらインテリなのだ。でも実は嘘をついており、そんな自分に自己嫌悪している。

土神は自分とは真逆のタイプのきつねに激しい嫉妬と劣等感を抱き、きつねの住処まで追いかけていき殺してしまう。どんな立派なところに住んでいるのかと思いきや「中はがらんとして暗くただ赤土が綺麗に堅められているばかり」のきつねの巣。

きつねは樺の木の気を引きたくて、実際よりも自分を良く見せようと嘘を重ねていただけ。土神と同じようにただの恋する哀れな男だったのだ。

真相を知った土神はただただ泣くばかり。何の救いもないラストに胸が締め付けられる。

きつねのレインコートのポケットに入っていた「かもがやの穂」は何の象徴なんだろう。

新潮文庫の「注文の多い料理店」に収録されています。

まとめ

他にもあまり有名ではないけど大好きな話が「「旅人のはなし」から」」。以前図書館で借りた全集に載っており、とても短いのに凄く余韻の残る話だったなぁ。

どうやら輪廻転生を繰り返しているらしき旅人の話だったと思うんだけど、また読みたいので借りてこよう。

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